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“濃度”のコントロール

普段イラストを制作する際、なんとなく実行している事や些細ではあるけど有用な事を言語化し、サンプルイラストを交えつつまとめてみました。超個人的な見解ですので、暇つぶし感覚で見ていただければ幸いです。

1.はじめに

ポルノイラストを描くにあたり、性的なシンボル(記号)のデザインの違いによって起きる、イラスト全体のキュートさ・セクシーさ・お下劣さの割合の変化と、それらのバランスの違いによって生じる許容範囲(好みの領域)についてを自分の今後のために考察をまとめてみた。今回はサンプルとして「スケベな給仕の初老男性」というテーマで、同じモチーフから「リアル頭身」と「デフォルメ」に描き分けた2つのイラストを用意。(初老男性のスケベ絵が全世界に当たり前に存在するという仮定の上で)絵柄は万人受けしそうな「キュート」な印象に仕上げた。

2.シンプルに記号化する事の重要性

この初老男性が給仕の最中である事を明確にするため、首元には蝶ネクタイ、左手にワインを乗せたトレンチを持たせる。赤ワインを配置する事でこの人物がこの格好のまま「上品な場」で「経済力のある相手」をもてなしているという状況を匂わす事も出来る。状況や人物像を表す記号的なデザイン要素は出来る限りアイコンとして機能するだけの簡略的なデザインにして視線を過剰に引き付けないように心がける。ポルノにおけるシンボルのデザインは、シンプルかつ露骨な方が見る側の興奮を邪魔しない(余計な処理をさせない)。性器の描写も絵柄に合わせ、「ただの付属品」に徹し存在感を抑えた「キュート」なデザインに。イラストのコンセプトを邪魔しない程度に描き手の性的な嗜好(フェティッシュ)を執拗に取り入れ(このイラストの場合はサイハイソックス)作者の好みを主張する事も重要(ポルノは本人主体の発信が一番強力)。

3.性器の「形状」の違いで得られる効果

前述の「キュート」な記号で統一されていたイラストから、性器の形状だけをリアルな描写に変更してみる。性器の色味と陰毛描写は「キュート」なままなので、可愛らしさと清潔感は保たれてはいるものの、目立たないフラットなデザインだった付属品としての性器が、現実的な形状になった事により、しっかりと「機能」を持ち「生殖器」としての印象を強める。リアル頭身の方は現実的(自然)なバランスに近づき「キュート」から「セクシー(生々しい魅力)」に寄り、デフォルメの方はバランスの取れていた状態が崩れ性器だけが目立ち「卑猥(下品さを含んだ生々しさ)」に寄る。このデフォルメならではのアンバランスな卑猥さは、性器を大きく悪目立ちさせればさせるほど強くなる。こうして意図的に性器を「絵から浮かせる」事で、視線誘導を図るのと同時に、「稼働している(エネルギーの保有)感」を強く表現する事が出来る。

4.性器の「状態」の違いで得られる効果

次は局部の「状態」を変えてみる。ポルノイラストを閲覧するのは男女問わず主に成人なので、各々基本的な肉体的メカニズムは理解しているという前提があり、そのためポルノにおける男性器の勃起の度合い(女性モチーフならば潤いの度合い等)は、描かれた人物の精神状態を明確に表現する手段となる。この「状態」の変化は視覚的効果もあるが、それよりも受け手の知識や経験からくる想像力に働きかけ興奮を促す効果が大きい。また、性器を勃起させる事によりその先にある性交渉への予感が生じるため、ただのヌードイラストとははっきりと差別化され、「描かれた人物が興奮している」という認識により、オナペットとして存在していただけの人物から「意志」が感じられるようになる。「縮み上がる」「萎える」「半勃ち」「MAX」「我慢汁を漏らす」等の細かい段階描写が可能であるチンポは、ポルノのデザインを練る際に大変便利な記号である。

5.「表情」の違いで得られる効果

「勃起状態」から更に人物の「表情」を変えてみる。笑顔でこちらを見ている表情から視線を逸し口を閉じた表情に変えるだけで、人物の感情や性格がガラリと変わる。前項までの笑顔には「どうぞ見てください」と言わんばかりのポジティブさが溢れていたが、視線を逸す事で今の状況を恥じている、もしくは快く感じていないというネガティブな印象を持たせる事が出来る。ただ、この表情の変化は変化前と変化後の差異(感情の起伏)を感じられた方がより効果的なため、1枚絵では真価を発揮しにくい(もちろん静止画として良い表情はたくさんあるが)。表情変化はゲームの立ち絵や差分制作を前提にしたイラストに使用すると効果的。また、このように顔の表情と、局部の表情(状態)をミスマッチさせる事で、人物の「本音と建前」や「恥ずかしい性癖(見られるのが好き等)」を想像させる事が出来るため、やっぱりチンポは本当に便利である。

6.性器の「描写」の違いで得られる効果

今度は性器の「描写」そのものを変えてみる。陰毛をリアルに描き、性器を歳相応の「長年使い込んだ色味」にするで事で、これまでの可愛らしさと清潔感の強いイラストから、現実感と下品さを強調したイラストへと変化する。それに伴い「臭い」も想像しやすくなる。元々意図的に可愛らしさを強調したイラストだったが、重くリアルな性器がぶら下がった事によりその意図が破綻。代わりに可愛らしさの中で異物のように目立つ性器が、また別の意図を生み出している。リアル頭身の方はより調和が取れた事で、デフォルメの方はより調和が乱れた事で卑猥さを更に増している。このように性器をよりリアルにデザインする場合は、あえて他の要素をキュートでフラットな印象のままにしておいた方が視線を集めるためにも有効であり、股間にぶら下がったイチモツに「場違い(そこにあってはいけない背徳的なモノ)感」を植え付ける事が出来る。

7.「アイテム」の違いで得られる効果

続いてグロテスクな性器を勃起させた彼が持つトレンチの上の「アイテム」を、ワインボトルからミルク瓶に変えてみる。こうする事で、男性器から「ミルクに似て非なるモノ」が供給されるという事実に基づいた知識(記憶)を利用し、受け手にいやらしい予感を抱かせ、その想像力に解釈を委ねたイラストが出来上がる。視覚的情報に基づいたポルノのような表現において、前後関係を想像させるアイテムや、はっきりとしない現状に期待や不安を抱かせるためのギミックは、興奮を促すために非常に効果的な手段であると同時に、作り手が最も受け手の想像力を信頼しなくてはならない難しい駆け引きでもある。「作り物」であり「偽物」でもあるポルノというコンテンツを全力で楽しむためには、意外と頭を使う必要があったりする。また、体液の存在感が強まる(生理的現象が露骨になる)と、「セクシー」よりも「お下劣」の印象の方が強くなってくる。

8.「衣装」の違いで得られる効果

不穏な予感を醸し出していた状態から、更に身につけていたものを全て「牛」を連想させるデザインに変更し、ミルク瓶にもホカホカ状態を表す湯気のエフェクトを追加してみる。ここまで露骨で下品な記号を増やせば、鈍感な人でもこのイラストのお下劣な意図を感じる取りやすくなる。蝶ネクタイとワインが無くなった事で、このイラストには「給仕らしさ」を表すものがトレンチのみとなり、他は全て「牛」の要素に入れ替わってしまったため、この初老男性は「ただホットミルクを生産しては運んでくる存在」に成り下がってしまった(存在意義が限定的になった)。この「スケベな事だけに専念している」という愚かさはポルノ作品にとってかなり大切な要素であり、「役割を限定するデザイン」や「下品な行為に従事している事を証明するデザイン」は滑稽であればあるほど効果的である。抜けるエロには「間抜けさ」が必要不可欠なのかもしれない。

9.更に露骨な記号を詰め込む

最後に、ミルク瓶の中身が「たった今生産したばかりのミルク」である事が明白になるよう、イラストの中に誰にでも伝わるような記号を追加してみる。「ミルクを搾った直後」である事がわかるように性器から「残ったミルク」を垂らし、それと同様に瓶の中のミルクの出どころを示唆するように、トレンチからも「ミルク」を垂らす。そして自身の搾りたてミルクを提供する事に恥じらいがある(背徳的行為である事を直視出来ない)表情にする事で、これらが意図する事がはっきりと明確になり、可愛さは残るもののお下劣さが勝ったイラストに変化する。ここまで明確なシンボルを揃えれば、このイラストを見た人にしっかりとお下劣な印象を与える事が出来るだろう。このように同じイラストからざっくりと分類しても8段階の「濃度」調整が可能であり、性的シンボルのデザインにはイラストの「意図」を左右する重要な役割がある事がわかる。

10.修正方法もデザインの一部

性器を隠す手段には様々な方法があり、イラストの「濃度」に合わせて適した修正方法を選ぶ事で、その意図をより強める事が出来る。今後締め付けが強くなってくる事を考慮すると、見せない事で性器の存在を意識させるというデザイン的手法はこれまで以上に重要になってくると思われる。

11.「リアル頭身」の「濃度」

「リアル頭身」は性的記号を簡略化すればするほど軽くなり許容範囲が広くなる。逆に性的記号を具体的にすればするほど3次元の「老け専」のストライクゾーンにハマっていく。「リアル頭身」のイラストの許容範囲を広げるには、性的な記号を出来るだけキュートで清潔感のあるデザインにする必要がある。「リアル頭身」はシンボルデザインによる濃度の変化が柔らかい。

12.「デフォルメ」の「濃度」

「デフォルメ」は元来性的表現としての力よりもキュートでポップな印象が強いため、お下劣さを出すためには性的な記号を「グロテスク」にしてギャップを持たせ視線誘導を図らないといけない。性器描写が絵から浮けば浮くほど卑猥になり、お下劣さが増していく。全体的なデザインとのギャップが顕著な分、「デフォルメ」はシンボルデザインによる濃度の変化が顕著である。

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